2017年出願商標から見える、最も勢いのある企業〈化粧品業界ランキング〉

「技術」を守る特許とは違い、「ビジネス」を守る商標からは、今後のビジネス化動向を予測することが可能です。

世界最大の商標データベース「GlobalBrandDatabase(以下略GBD)」を活用したビジネス予測最新情報をお届けいたします。

[su_heading size=”19″]出願商標から見る将来のビジネス予測最新情報[/su_heading]

”化粧品”などが対象となる第3類を指定し、2017年に出願された商標は102,662件。その内、出願件数の多い権利者TOP10はこちら。

1,368件の出願件数で圧倒的1位だったのは、フランスに本部を置く世界最大の化粧品会社「ロレアル社」。

デジタルで顧客との距離を縮める

ロレアルグループの日本法人である日本ロレアル株式会社は、2015年に日本初のCDO(最高デジタル責任者)を設置したことでも話題となりました。CDOの設置は、組織全体のデジタル化による、顧客との距離を縮めることが目的。SNSやブログなどから顧客の声を分析し、デジタル技術を使うことで、化粧品の販売会社から顧客起点の商品開発を提案できる会社に進化させていくと言います。

同社は、時代に合わせた柔軟なサービスの展開や、デジタルを応用した美容機器などの開発を加速させていることでも、注目されています。化粧品業界に留まらず世界を牽引するトップ企業のひとつであるロレアル社の戦略と出願商標をご紹介いたします。

ロレアルのモバイルアプリ「Makeup Genius」

2015年、AR(拡張現実)技術を利用したメイクの疑似体験アプリ「Makeup Genius(メイクアップ・ジーニアス)」を開発。(https://www.lorealparisjapan.jp/makeup_genius/)

本アプリは、自分の顔をスマートフォンやタブレットでスキャンするだけで、 瞬時にバーチャルなメイクを試せる画期的なメイクアップシミュレーター。自社製品の販促も兼ね、顧客が試した内容から、どんな商品を購入したかというデータを貯蓄し、その後顧客に最適化された情報配信をすることに役立てていると言います。まさにデジタルで顧客との距離を縮める戦略。

他社も意識する出願商標

本アプリで使用されている「Genius」のネーミングに焦点をあて、”Genius”を含む過去出願内容を確認したところ、ロレアル社の出願商標を他社が意識していることに気づかされました。

同社が「Genius」を含む商標出願を始めたのは、2013年11月。「HAIR Genius「BEAUTY Genius」「FACE Genius」「SKIN Genius」「COLOR Genius」など、複数の態様の出願が確認できます。それを追うかのように、2014年8月には化粧品会社ヘレナ・ルビンスタイン社(Helena Rubinstein)が「Genius」を、2015年には「Genius WASH」を出願。
また、2014年12月には同じく化粧品販売会社であるベアエッセンシャル社(BARE ESCENTUALS BEAUTY, INC.)が「AGLESS Genius」を約10の国へ出願しています。画像引用:https://www.lorealparisjapan.jp/、https://www.helenarubinstein.jp/、https://www.bareminerals.jp/

「Genius」は「天才」という意味合いの言葉であり、化粧品業界との関連性は高くはない言葉であるものの、「Genius」を含む出願が続いているということは、他社がロレアル社の出願を意識していると言っても過言ではないのではないでしょうか。

IoTを搭載した最先端技術の導入

ヘルス系ウェアラブル端末を制作するWithingsが、ロレアル社の業務用製品ラインのケラスターゼとともに、髪の健康状態を把握して適切なブラッシングの仕方を教えてくれる世界初の髪用スマートブラシを開発しました。(https://www.kerastase.jp/special/hair-coach/)

ブラシ内蔵の専用マイクとセンサーが髪のまとまり、くせ、 乾燥、切れ毛や枝毛の度合を測定し、髪の状態を数値化し専用モバイルアプリへ、個々の髪の状態やニーズにマッチするケア方法と製品をその都度提案し教えてくれる。ヘアブラシにもIoTの技術が搭載されるような時代が到来したのです。

同社は、「HAIR COACH」商標を14件出願しており、出願時の指定商品は下記通り。

9類:接続されたヘアブラシのための携帯電話のためのソフトウェアアプリケーション。
21類:接続されたヘアブラシ。

現時点で9類に”ヘアブラシ”を指定した同様の商品の出願は確認できませんでしたが、今後出願が続くかもしれません。

デジタルをフル活用し、EC化率増加へ挑む

CDO(最高デジタル責任者)の設置や、アプリを利用してもらうことで顧客との距離感を縮めながらデータの貯蓄、IoT技術の導入、など、デジタル技術や顧客のデータを有効に活用した戦略を取っていることが伺えたのではないでしょうか。
また、3月20日、化粧品EC日本最大級の品揃え「@cosme shopping」で、ロレアルグループの各ブランド取扱いを開始したと報じられました。ロレアル主要ブランドである、「ランコム」「シュウ ウエムラ」「イヴ・サンローラン」の正規取り扱いは、百貨店EC以外では初となり、美容業界で進むEC化に先駆けて開始した形。
同社は、グローバル全体で売上のEC化率20%を目指しているといい、この数字は日本のマーケットEC化率平均値が12%弱ということから見てもチャレンジングな数字。そこに向かっての様々な改革を行っていくという今後の動向に引き続き注目して行きたいと感じました。

 

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引用:https://japan.cnet.com/article/35066414/、https://www.gizmodo.jp/2017/01/kerastase_hair_coach_powered_by_within.html、https://ecnomikata.com/ecnews/18271/、https://seleck.cc/1037

イラスト(フリー素材サイト):http://www.irasutoya.com/2013/07/blog-post_4226.html

弊社では、以下をはじめとする各種対応が可能ですので、弊社HPも併せてごらんくださいませ。


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