大人気カイリジュメイリップから「商標権者が正規品を正しく消費者へ届けるためには」

Instagramを中心に話題沸騰中の香港コスメブランド「Kailijumei(カイリジュメイ)」 。 透明なリップに華やかな色合いに本物の花がドライフラワーになって閉じ込められています。 透明のリップですが、唇に塗ると唇の温度、水分量、pHによって色が変わります。 その都度自分の体温で色が変わる魔法のようなリップです。

一部の海外メディアでも取り上げられ、現在品切れが続出し偽物が出回るほどの人気となり、偽物と本物の違いについて言及するサイトもいくつか確認でき、正規品と判断することが非常に困難な状況になっているようです。

大人気カイリジュメイリップから「商標権者が正規品を正しく消費者へ届けるためには」をご紹介いたします。

 

カイリジュメイの販売状況

まずはカイリジュメイの販売状況を確認していきましょう。中国で人気ECサイト、アリババ(左)とタオバオ(右)。両ECサイトにおいて、”kailijumei”は多量に販売されていることが確認できます。

また、日本の人気ECサイトYahoo(左)と楽天(右)においても同様に、”kailijumei”が多数確認でき、中国に留まらず日本国内での人気の高まりも伺えます。

 

ホストネームにブランド名が含まれるドメインの重要性とは

オンラインで商品販売するケースで多い展開としては、ECサイトへの出品をするケースもありますが、独自ドメインを取得したオンラインショッピングサイトの運営が主流です。日本国内において、公式通販会社として「株式会社ティーサイドが[su_highlight background=”#cdf0f1″]kailijumei[/su_highlight].co.jp」を、日本総代理店として「三山商事有限会社が[su_highlight background=”#cdf0f1″]kailijumei-japan[/su_highlight].com」を運営し、商品の販売を行っています。その他、http://[su_highlight background=”#cdf0f1″]kailijumei.tictail.com[/su_highlight]/やhttp://www.[su_highlight background=”#cdf0f1″]kailijumeibeauty[/su_highlight].com/といった、様々なWEBサイトが確認できました。

画像出典:http://kailijumei.tictail.com/、http://www.kailijumeibeauty.com/

[su_box title=”ホストネームとは”]

ホストネームとは以下の青枠内の部分のことを指します。

ドメインネームは会社組織名やサービス名などを表すことが多く、サイト運営者には非常に重要なものです。ドメインネームを見て、サイトの信頼性を判断する消費者も多いため、ホストネームと呼ばれる部分にブランド名が含まれるドメインネームは非常に重要な価値があるのです。

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ホストネームの重要性を確認したところで、”kailijumei”をホストネームとするドメインネームの登録及び運営状況を見ていきましょう。

”kailijumei”をホストネームとするドメインネームの使用状況は?

”kailijumei”をホストネームとしたドメインネームの登録は18件確認できました。その内、WEBサイトが存在したものは10件。(kailijumei.com.au、kailijumei.com.cn、kailijumei.com、kailijumei.cz、kailijumei.es、kailijumei.co.jp、kailijumei.my、kailijumei.sg、kailijumei.sg、→https://www.kailijumei-lipstick.cz/、kailijumei.co.uk)

全てのサイトにおいてカイリジュメイリップのオンラインショップサイトが運営されていました。1件、kailijumei.comは閉鎖中のサイトとなってはいますが、本サイトでカイリジュメイリップ販売が開始された場合、「.com」を使用していることからも、多くのユーザーが本サイトを正規サイトと判断して購入してもおかしくはありません。

これらのサイトが、正規品の取り扱いではないサイトであった場合、消費者に混同が起きてしまいかねない非常に悪質なサイトの数々です。このようなサイトが運営されていることの把握及び今後定期的な監視が必要なサイトに該当します。

[su_box title=”ブランド名を含む文字列を使用するドメイン名の重要性”]

会社に関係がない第三者が企業のブランドを含むドメインネームを取得し、あたかもオフィシャルサイトのようなウェブを立ち上げる。このような事例が発生していることは珍しくはありません。

ブランド名を含むドメインの取得状況や、サイト内容の把握や監視の重要性がお分かりいただけるのではないでしょうか。

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”kailijumei”商標出願状況

日本の出願商標

日本の商標データベースで、「kailijumei」「カイリジュメイ」出願商標を確認したところ、4件の出願が確認できました。「陳瑞麗」という個人と化粧品とは関係のない日本企業からの出願が確認できました。

画像出典:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage

世界の出願商標

世界最大の商標データベース「GlobalBrandDatabase(以下略GBD)」で、商標名”kailijumei”を含む商標出願は、16件。

画像出典:Global Brand Database(http://www.wipo.int/reference/en/branddb/)

中国のChen Ruiliという個人名での出願が主で行われていました。同様に、中国と韓国の各国データベースを確認したところ、日本とGBDの結果と同様の「陳瑞麗(Chen Ruili)」という権利者が出てきたため、「陳瑞麗(Chen Ruili)」というものがkailijumeiの商標権者であることの判断がつきます。

[su_box title=”正規品を正しく販売するためには”]

正規品(真正品)と模倣品が競合した場合、顧客は一般的に安価な模倣品を購入してしまいます。市場に安価な模倣品が出回ることは、直接、正規品(真正品)の売上げを低下させてしまう可能性があります。また、正規品(真正品)の販売価格の切り下げを余儀なくされることもあります。このような状況は自社の利益を圧迫することはもちろん、正規品(真正品)を扱う海外の販売業者の離反を招く恐れがあります。

また、正規品(真正品)と同じブランドを使用した粗悪な模倣品が市場に混在することにより、正規品(真正品)のブランドイメージが著しく低下することがあります。[su_highlight background=”#cdf0f1″]特に、カイリジュメイは直接消費者の肌に触れる化粧品です。万が一、肌に異常が現れた場合、正規品(真正品)と混同して模倣品を購入した消費者から、品質が劣悪であるというクレームが付いたり、訴えられたりすることもあります。このような場合には、模倣品を放置していた企業の信用が失墜することになります。[/su_highlight]

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カイリジュメイは商標権利者の判断はつくものの、その人物と会社や商品などが結びついていないため、正規品を取り扱う公式サイトか否かの判断ができない状態であることがわかりました。急激な人気の高まりに伴う類似品などの出現に手の施しようがなかったのかもしれませんが、本商標の場合、きちんと商標の権利取得を行っているため(中国、日本、韓国のみの確認ですが)、悪質サイトや模倣品に対して権利行使が可能です。今後、正規品を正しく消費者へ届けるための対策や対応が求められます。

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