医薬品・化粧品小売業 商標出願のポイント

近年の化粧品業界は 国内での市場飽和を背景に新たな需要を求め海外へと市場を移しています。 大手企業を筆頭にアジア圏を中心とした海外市場に販売網を構築しおり、重要な商標の権利化について当然されていくものと予想されます。

 

化粧品小売業で必要な商標区分は?

化粧品小売業界といっても多くの事業が存在します。どのような商標区分を押さえていけばいいのか、具体的な例を見て確認をしてみましょう。

 

化粧品小売業業績ランキング上位の”株式会社 資生堂”の日本の商標登録情報を見てみるとSHISEIDO(第5784366号)にて、下記のように登録がされています。

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●3類 :せっけん類,化粧品,香料,薫料,歯磨き

●21類 : 化粧用具

●44類 : 美容,理容,あん摩・マッサージ及び指圧,美容情報の提供,化粧品の使用法に関する情報の提供,栄養の指導,健康診断
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その他、様々な会社の例をみると下記のような表にまとめることができます。

 

必要区分一覧

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区分 指定商品 代表例
3 化粧品  つけまつ毛,つけづめ
21 化粧用具  –
41 化粧方法及び化粧品に関する知識の教授,化粧方法及び化粧品に関する講演会・セミナーの企画・運営又は開催
42 化粧品の試験・検査又は研究
44 美容・理容,美容情報の提供,化粧品の使用法に関する情報の提供  マッサージ,健康診断

化粧品業界各社で主力商品やサービスが異ってはいますが、はじめに3類で権利化を図り、その後様々な必要区分での権利化を図っている傾向が伺えます。

※各国毎に区分の揺れが多少あるため出願時の確認が必要です。

 

 

補強区分

 

●6類 :金属製包装用容器

●16類 :紙製包装用容器

●20類 :木製・竹製又はプラスチック製の包装用容器

●21類 :ガラス製又は陶磁製の包装用容

●35類 :化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供

[su_spoiler title=”各種包装容器やノベルティ” style=”simple” icon=”folder-1″][/su_spoiler]

化粧品に施される包装容器にロゴ等を付与する場合、6,16,20,21類等、各包装容器の種別毎での登録が必要となります。ノベルティとして無償で顧客に配布される販促品は、主たる商品の販売 促進を目的として宣伝広告物なので、ノベルティに表示されている商標は主たる商品の商標であり、ノベルティの商標ではないと考えるのが基本原則です。

しかし、実際には、楽器の製造販売会社で有名な「BOSS」が、 楽器の購入者に対して、「BOSS」のロゴを付したTシャツを無料で配布したところ、被服類について「BOSS」を登録している商標権者から訴えられたように、裁判事件に発展することがあります。したがって、ノベルティに関しては、その物品の周囲に他人の商標権が存在しない ことを確認したうえでキャンペーンをおこなうという慎重な態度が必要です。

 

[su_spoiler title=”オンラインショップや通販カタログのタイトル” style=”simple” icon=”folder-1″][/su_spoiler]

CLINIQUE∞正規品保証∞GUARANTEED∞公式オンラインショップ(第5596064号)は、35類「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」で登録をしており、下記公式オンラインショップを展開しています。通販カタログのタイトルも小売店の看板と同じく販売標となりますので、たとえば、化粧品やエステなどの美容関連商品を扱う通販カタログであれば、化粧品やエステなどの美容関連商品の小売等サービス(35類)について商標登録 を受けておけばよいでしょう。

引用:https://www.clinique.jp/trustmark

 

[su_spoiler title=”新しい商標の登録” style=”simple” icon=”folder-1″][/su_spoiler]

ファンケル(第5949124号)で、下記音商標が登録されています。各社新しい商標(動き商標. ホログラム商標. 色彩のみからなる商標. 音商標. 位置商標)の権利保護を進めていることが伺えます。

 

また、欧米などでは出願が可能である「匂い/香り」商標ですが、CHI(登録番号:464771)がロシアで権利者Фарук Системсにより、ヘアケア、シャンプー、コンディショナー、ヘアスプレー等で登録されていることが確認できました。

 

 

指定商品は事業内容と伴っているか?

商標は登録を一度したからといって、今後同一の文字列・ロゴでの取得をすることが不要というわけではありません。新しい事業展開があった場合などには、都度商標区分の確認が必要です。検討をする時期の例は以下の通りです。

■ 新規事業立ち上げ時
■ 海外進出検討時
■ 商標制度の変更時