飲食料小売り業 商標出願のポイント

 

飲食料小売り業界の事業スピードは非常に早く、事業を円滑に進めていくにあたって重要な商標の権利化について計画的に対応をしていく必要があります。

飲食料小売り業で必要な商標区分は?

飲食料小売り業界といっても多くの事業が存在します。どのような商標区分を押さえていけばいいのか、具体的な例を見て確認をしてみましょう。

飲食料小売り業業績ランキング上位の”株式会社ゼンショーホールディングス”の日本の商標登録情報を見てみると、ZENSHO(第4997127号)にて、下記のように登録をしています。

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●29類 :食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,サラダ,野菜の漬物,きんぴらごぼう,その他の加工野菜,加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく,みそ汁,とん汁,レトルトパウチされた牛丼の具,その他の牛丼の具,レトルトパウチされた豚丼の具,その他の豚丼の具,レトルトパウチされたカレー,レトルトパウチされたあんかけ丼の具,レトルトパウチされたとりそぼろ丼の具,まぐろたたき丼の具,ネギトロ丼の具

●30類 : アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,茶飲料,コーヒー及びココア,コーヒー飲料,ココア飲料,氷,菓子及びパン,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,牛丼べんとう,豚丼べんとう,カレーべんとう,あんかけ丼べんとう,まぐろたたき丼べんとう,ネギトロ丼べんとう,とりそぼろ丼べんとう,その他のべんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン

●31類 :生花の花輪,釣り用餌,ホップ,食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,野菜,糖料作物,果実,コプラ,麦芽,あわ,きび,ごま,そば,とうもろこし,ひえ,麦,籾米,もろこし,飼料用たんぱく,飼料,種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草,盆栽,獣類・魚類(食用のものを除く。)・鳥類及び昆虫類(生きているものに限る。),蚕種,種繭,種卵,うるしの実,未加工のコルク,やしの葉

●32類 :ビール風味の清涼飲料,その他の清涼飲料,果実飲料,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料,飲料用野菜ジュース

●43類 : 宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,動物の宿泊施設の提供,保育所における乳幼児の保育,老人の養護,会議室の貸与,展示施設の貸与,布団の貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用食器乾燥機の貸与,業務用食器洗浄機の貸与,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,タオルの貸与
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その他、様々な会社の例をみると下記のような表にまとめることができます。

必要区分一覧

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区分 指定商品 代表例
29 動物性の食品及び加工した野菜 ハム、ベーコン、加工果実や野菜
30 加工した植物性の食品 寿司、たこ焼き、菓子、パン、ケーキ、調味料
31 加工していない陸産物 果実、野菜、食用魚介類
32 アルコールを含有しない飲料及びビール 野菜ジュース、清涼飲料
35 広告、フランチャイズ
43 飲食物の提供  レストラン、居酒屋、イートイン
※各国毎に区分の揺れが多少あるため出願時の確認が必要です。

 

補強区分

●5類 :栄養補給剤及び栄養補強剤,サプリメント,乳幼児用飲料,乳幼児用食品

●35類 :インターネット・携帯電話及びコンピュータ通信ネットワークを利用した商品の販売に関する情報の提供

●39類 :貨物の梱包又はこれに関する情報の提供,他人の携帯品の一時預かり,配達物の一時預かり

[su_spoiler title=”販売する飲食物の性質” style=”simple” icon=”folder-1″][/su_spoiler]

カルビー株式会社の「§フルグラ」(第5712337号)は5類の”栄養補給剤及び栄養補強剤,滋養強壮変質剤,その他の薬剤,乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品”を指定商品として登録がされています。

製品がサプリメントとして分類される飲食物等は5類での登録が必要となります。

[su_spoiler title=”ネット販売の展開” style=”simple” icon=”folder-1″][/su_spoiler]

店舗のみでの販売ではなく、ネットスーパーの事業展開をする小売業者が増えています。

ネットスーパーのようにインターネット経由で商品を販売する場合、ネットショップ名を小売商標として登録することや35類での登録、輸送に関連する39類での登録も必要となります。

 

[su_spoiler title=”プライベートブランドの展開” style=”simple” icon=”folder-1″][/su_spoiler]

また、近年ではプライベートブランド商品を展開することがメジャーになりつつあります。PB商品は各商品に独自に商標を付けて販売するため、第35類の小売等役務だけで保護されるものではなく、PBで取り扱う各商品の区分にそれぞれ商標登録が必要です。

 

指定商品は事業内容と伴っているか?

商標は登録を一度したからといって、今後同一の文字列・ロゴでの取得をすることが不要というわけではありません。新しい事業展開があった場合などには、都度商標区分の確認が必要です。検討をする時期の例は以下の通りです。

■ 新規事業立ち上げ時
■ 海外進出検討時
■ 商標制度の変更時