出願前に【瑕疵】のある出願をされていたら?[特許庁からのお知らせ]

21日、「手続上の瑕疵のある出願の後願となる商標登録出願の審査について(お知らせ)」が特許庁から配信されました。

出典:http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_shouhyou/shutsugan/kashi_kougan.htm

瑕疵のある商標出願

 

かし【瑕疵】

1.    きず。欠点。
2.    法律や当事者の予期するような状態や性質が欠けていること。

 

「民進党」「伊勢志摩サミット」「北海道新幹線」などを筆頭に、最近だと大ヒット映画の「君の名は」(商願2017-27825)や、インターネット プロトコル バージョン6の略称「IPv6」(商願2016-131794)など、他人の商標を先取りするような商標出願が無差別に大量に行われています。

これらのほとんどの出願について、出願手数料の支払いがなく【瑕疵】があるため登録に至ることがありません。

 

特許庁は「商標登録出願を行おうとする際に、先に手続上の瑕疵のある出願が他人からなされていたとしても、ご自身の商標登録出願について、先願となる商標登録出願が却下されるのを待つ必要はありません」と呼びかけています。

出典:http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_shouhyou/shutsugan/tanin_shutsugan.htm

 

 

 

出願前に【瑕疵】ある出願をされていたら?

 

出願をあきらめる必要はなく、先願となる商標登録出願が却下されるのを待つ必要はありません。

 

 

当該出願に係る商標が、出願人の業務に係る商品・役務について使用するものでない場合(商標法第3条第1項柱書)、他人の著名な商標の先取りとなるような出願や第三者の公益的なマークの出願である等の場合(同法第4条第1項各号)は、商標登録を認めません。http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_shouhyou/shutsugan/kashi_kougan.htm

 

日本は「使用主義(商標を実際の商取引で最初に使用することによって商標権が発生する)」ではなく「先願主義」(先に出願した者に商標権が発生する)ではありますが、上記のように特許庁が述べています。

要するに、【瑕疵】ある出願を大量に行った者に対して、今後出願料を支払ったとしても、審査過程でその商標が他人の著名な商標の先取りとなるような悪意のある出願だったと分かった場合、登録を簡単に認めることはありませんよ。という意が込められています。

 

したがって、【瑕疵】ある出願を行っている者より後願になっても何ら問題がありませんので、しっかりと商標出願を行うべきです。

 

 

拒絶理由通知を明示する運用へ

 

今後、上記の拒絶理由を通知する場合においては、拒絶理由となる先願が手続上の瑕疵のある出願に該当し、当該先願となる出願の却下を確認次第、登録査定を行う旨を、拒絶理由通知に明示的に記載するよう、運用を変更します。http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_shouhyou/shutsugan/kashi_kougan.htm

 

後願商標の出願・審査が開始されたのち「拒絶理由通知(下図赤枠内)」が送られ、“先願は瑕疵のある出願であり、却下確認後に登録査定を行う”という内容を拒絶理由通知に明示するよう、運用の変更をするとのこと。

 

 

そもそも、【瑕疵】ある出願を大量に行っていることが問題であり、特許庁も頭を抱えていたことが伺えますね。制度の成熟を期待します!