観光に「ブランド力」を活用する時代に

 

13日、東京都は築地市場の豊洲移転問題で、築地もブランド力を生かし観光やにぎわいの拠点として活用する検討をし始めた。

出典:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFB13HCH_T10C17A6EA1000/

 

小池百合子東京都知事は、「築地の圧倒的なブランド力を大切にしていきたい」と述べ、国内外で知名度のある「築地ブランド」を活かした「食」を中心とした集客拠点として活用する案が有力視されている。

 

もちろん、東京都だけでなく日本国内でもそれぞれの地域ブランド力を高める動きが凄まじい。

 

「県のPR動画」をご存知でしょうか。見たことはなくても存在は知っているという方は多いのではないだろうか。「タレント起用」「コメディ」「観光地映像」等、各県が動画を使って“県の魅力”をPRするケースが増えている。

 

 

PRブームの火付け役「うどん県」

 

県のPRブームの火付け役といえば香川県の発表した「うどん県」が挙げられる。

 

うどん県に改名というユーモアあるCMは一度見ると覚えてしまうほどのインパクトがあった。要潤さんがうどんをすすった音で泣く赤ちゃんを泣き止ませられるのか?といった内容のうどん県シリーズCMもユーモアにあふれており、ついついCMが流れると見入ってしまったことを覚えている。

 

この取り組みは「香川=うどん」のイメージをさらに強めることになり、香川県は世間からの注目度が上がり、同県を訪れた観光客数は前の年に比べ2.6%増の893万人となった。

出典:http://www.nikkei.com/article/DGXNZO56317280X10C13A6LA0000/

もちろんこの「うどん県」は香川県によって商標登録がなされている(第5516559号)。

 

 

様々な県による登録商標

香川県の取り組みをきっかけに、各地方自治体でも積極的なPRや地方自治体のブランド力向上へ力を入れてきたことが、商標登録からも見てとれる。地方自治体が登録している商標から、各取り組みをいくつかご紹介しよう。

 

  • 登録番号    第5880977号 権利者 神奈川県恋愛と神奈川の「カナ」にかけた出会いプロジェクト名「恋カナ」。恋カナのサイト(http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/0214/koikana/)。各種出会いのイベントを神奈川の観光スポットで行っており、神奈川県の盛り上げを一役担っているプロジェクト。イベントを神奈川で行うことで地域活性とPRにつながっている。

 

  • 登録番号    第5615308号 権利者 長野県長野県観光部信州ブランド推進室が運営するサイト(http://shiawase-shinshu.jp)。日本総合研究所というところがさまざまな統計を使ってデーターを出しており、長野県は幸福度ランキングで全国第一位となっている。その他、野菜の摂取量1位、エリンギの出荷量1位、日帰り温泉施設数1位など、知られざる長野の魅力を様々なランキングで知ることができるサイト。

 

  • 登録番号    第5647341号 権利者 高知県

「高知県は、ひとつの大家族やき。」で検索すると出てくる高知県が運営するサイト(http://www.kochike.pref.kochi.lg.jp/~top/2014/)。ひとつの大家族のようなあたたかさを「高知家」と表現し、「食」「自然」「ぬくもり」などを届けているサイト。高知県の方言を用いることで温かさを表現していることが感じられる。

 

 

くまもんを筆頭にゆるキャラの商標登録が多く目につく中、上記のようなゆるキャラ以外の商標登録情報からも各地方自治体の観光産業への力の入れ方や、地方自治体そのもののブランド力向上への取り組みが読み解ける。

大分県が「おんせん県」と表現していること(https://www.visit-oita.jp/)が、「うどん県」のパクリでは?と話題になっているが、現時点で商標出願をしていることは確認できない。地方自治体のPR合戦の白熱化と築地移転問題の動向に。今後も目が離せない。