第53回ICANNブエノスアイレスミーティング【ブランドTLD・新GTLD】

先月、正確に言うと2015年6月21日~25日の日程で、第53回ICANNブエノスアイレスミーティングが開催されました。

文字通り、南米アルゼンチンの首都であるブエノスアイレスで開催され、ドメインネームのポリシーや新gTLDの現状など、様々なトピックに関して協議されました。しかし、今回のICANNミーティングでの状況は…ということをお伝えしても唐突ではあると思いますので、数回に分けてドメインネームとICANN、そしてICANNミーティングの説明をしたいと思います。

ドメインネームとは

ドメインネームとは、インターネットウェブサイトへアクセスする際の識別子であり、簡単に言うと住所です。みなさんが手紙を書く際に、当然送り先の住所を書くと思いますが、それと同様のものがドメインネームです。正しいドメインネームをブラウザに書き込むことで、正しいウェブサイトにアクセスすることができます。インターネットと一言で言いますが、ドメインネームは、インターネットウェブサイトへアクセスする際に重要な役割を果たしているものです。

ICANNとは

インターネットとは、1960年代にアメリカ国防総省Advanced Research Projects Agency(ARPA)が開発したARPANETが、時代を追ってより良い形へと変化を遂げたものです。ARPANETの開発者の一人であるJohn Postel博士が、インターネットの法律と言われるRequest for Comment(RFC)の編集に携わり、後にInternet Assigned Numbers Authority(IANA)を設立しました。IANAとは、インターネットのIPアドレスとドメインネームの管理、分配をする組織です。
1998年には、IANAに変わる組織としてInternet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)が設立され、IANAはICANNの下部組織となりました。
ICANNとは、1998年に設立されたインターネットのIPアドレスやドメイン名などの各種資源を全世界的に調整・管理することを目的とした民間の非営利法人です。
1997年、当時は米国商務省の一部としてIANAによるインターネットリソースの分配が行われていましたが、当時のクリントン政権が経済政策としインターネットの国際化案を打ち出し、実現化するための組織としてIANAに変わりICANNが設立されました。
2011年3月に行われたICANNサンフランシスコミーティングでは、ビル・クリントン氏の講演が行われております。

ICANNミーティング

ICANNミーティングとは、年3回開催されるドメインネームの国際会議です。開催地は五大陸持ち回りであり、今回は南米アルゼンチンの首都であるブエノスアイレスでした。ミーティングでは、主にドメインネーム関連ポリシーや各プロジェクトに関する話し合いが行われます。現在進行中のプログラムの代表的なものに「新gTLDプロジェクト」があります。このプロジェクトに関しては、また別の機会でお話をしたいと考えています。

五大陸持ち回りなので、時にはコストや移動時間が掛かる事もあります。2013年7月には、南アフリカ第三の都市であるダーバンでICANNミーティングが開催され、日本からの移動時間も片道30時間を越えるものとなりましたが、普段遠方への参加が出来ないアフリカ諸国から多くの参加があるなど、ミーティング全体としては非常に意味のあるものとなります。特に国境や各国での法律が整備されていないドメインネームの協議のためには、多くの国、地域からの参加が不可欠であり、五大陸での開催は重要であると個人的には考えます。

ただし、2014年6月開催のICANNロンドンミーティングの参加者は3,000人を越えましたが、今回2015年6月のブエノスアイレスは900人程度です。最近は、国際情勢などに左右されることもあり、ブエノスアイレスでは2013年11月に2,000人以上の参加があったICANNミーティングを開催したばかりでした。南米は北米や欧州からのアクセスは悪くないため、もっと参加者がいても良いものですが、18ヶ月間に2回目ということで、半分観光として参加する人口が減ったのかと考えてしまいます。シンガポールでも2011年以降既にICANNミーティングが3回開催されていますが、こちらも参加者減少傾向にあます。ただし、見方を変えると、誰がICANNミーティングにおけるリアルプレイヤーなのか分かりやすくなる利点はあります。

次回以降ですが、ドメインネーム、ICANN、そしてICANNミーティングという3つのトピックをもう少し深堀りして行きたいと思います。