商標法における先出願という支配原理:グッチによる商標訴訟での敗訴

matsumoto_kengo今回のニュースは高級ファッションブランドの話です。ルイヴィトン模倣品のシンジケートが捕まったというようなニュースや、海外に行ってプラダのバッグを買って帰ってきたら模倣品だったので押収されてしまったなどといった話をよく耳にします。高級ファッションブランドは模倣品の対策に手を焼いているという印象があります。

そのようなブランド品模倣問題というのは、使用許可を与えていない第三者に勝手に自社の商標を取り付けた製品を販売されたり、そのような製品を輸出入されたりすることを主に指します。模倣とはいいますが、その製品が似ているか否かという問題ではなく、ブランドを騙っているということが焦点です。ですから、法的根拠として、基本的にはブランド所有者がその国において商標権を取得しているということが大前提となるわけです。つまり、偽造品の対策というのは「ブランドが権利面からしっかりサポートされている」ことがそもそもの前提になっているのです。ですから、「まさにブランドで勝負している高級ファッションブランドなのだから、権利面では当然万全の体制で臨んでいるに違いない」と私は思っていました。

ところがそうでもなかったようです。

みなさんよくご存知の高級イタリアブランド「グッチ」。財布やバッグなどにパターンやデザインとしてよく使われているGが向かい合ったデザインのロゴが有名であることは、いまさら議論するまでも無く世界中に知れわたっています。

このマークをグッチがスウェーデンで登録しようとしたところ、すでに第三者によって商標登録されていたため、スウェーデン特許庁によって拒絶されてしまいました。世界中のファッションシーンが大きな関心を向ける対象のひとつであり、又、商標がモノグラムであることを強調して特許控訴裁判所に訴えました。しかし、裁判所はグッチの出願商標は、既に登録されている商標権と抵触するという特許庁の判断を認め、グッチの訴えを認めませんでした。スウェーデンにおけるGGマークの権利者が今後どのような対応をするのかはわかっておりません。

このように、先行登録された商標は権利として保護されるため、世界中に知られているマークであってもこの先行登録商標と類似する場合には、先行登録商標の後願として登録を拒絶されてしまうこともあるのです。昨今中国における所謂「ぬけがけ」登録問題が取り沙汰されていますが、この問題は何も中国に限った話ではないということを肝に銘じておくべきでしょう。ブランド戦略はまず権利あってのものであり、権利面からのサポートを怠れば手痛いダメージを受けることは必須です。堅実で着実な成長を目指すためには、知的財産権を経営的課題として捕らえ、戦略的な取得と保護をしなければなりません。

世界中の商標とドメインの権利取得保全を代行するだけでなく、経営的、戦略的立場に立ったコンサルティングにより、お客様のBrandをRightsで支えるブライツコンサルティングのご利用を是非ご検討ください。

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