レジストラの商標権侵害のケース

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100万件のドメインネームの登録を達成した、世界トップ15のレジストラであるOnlineNIC(以下、当レジストラ)は、663件の商標権侵害をしているドメインネームを登録していたため、米国カリフォルニア州裁判所は、Anti-Cybersquatting Protection Act (ACPA)の法律に基づき、米国大手通信会社Verizon(ベライゾン・コミュニケーションズ)に対して各ドメインネームにつき5万ドル、合計3,315万米ドルの賠償金支払を命じる判決を下しました。

提訴人であるベライゾン・コミュニケーションズは、当レジストラ がドメインネームの転売者向けのバルク登録サービスを提供しており、このベライゾンの商標権侵害ドメインネーム以外にも数千件の侵害ドメインネームを登録していることを主張しています。

現在このニュース速報から数週間経過していますが、未だに以下の事実が明確ではないため、本件の判決の意味の重要さを判断することは難しいと思います。

 
1. 登録は誰によるものか
当レジストラが直接利益を得る目的でこれらのドメインネームを登録していたのか、若しくは、当レジストラの顧客が単にこれらのドメインネームを登録したのかという事実はまだ不明です。当レジストラが顧客の登録を管理していただけであれば、同様の大手レジストラにはかなり大きな影響を及ぼします。

2. 当レジストラの本社は実際にどこにあるのか
Whois情報を見る限り、当社の住所はカリフォルニア州オークランド市となっていますが、この住所は虚偽の住所でした。他レポートによりますと、当レジストラは中国の会社のようです。

3. ICANNの責任はないか
当レジストラはICANNの公認レジストラであったにもかかわらず、ICANNは当レジストラの住所さえ確認していなかった点でICANNにも責任があるのではないか。

4. 欠席裁判
当レジストラは裁判所に一度も出廷せずに判決が出されていることから、判決が少し偏っているのではないかと考えられます。当レジストラが実際に裁判で争った場合、結果はどうなっていたでしょうか?現在MicrosoftとYahooは当レジストラに対して同様の判決を求めていますが、同様の結果を期待できるでしょうか。

 
ベライゾン・コミュニケーションズは本件の判決に誇りに思っているようですが、様々な弁護士やアナリストは、ベライゾン・コミュニケーションズが賠償金を回収することは非常に難しいと述べています。しかし、仮に賠償金を得られなかったとしても、商標権者は自社のブランドを守り、保護する義務がありますので、少なくともサイバースクワッターと戦うという姿勢を社会に対して示すことができたといえるでしょう。

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